労務管理Q&A

従業員10人未満ですが、就業規則を作成しなければなりませんか?

労働基準法第89条により、従業員を常時10人以上使用する事業主は、就業規則の作成し、または変更した場合に労働基準監督署に届け出なければなりません。従業員数が10人未満の場合は就業規則の作成・届け出義務はありません。
しかし、就業規則は、職場の基本ルールとなるものであり、従業員が1人でもいる事業所であれば労働基準法上の作成義務のない小規模事業者でも、労働契約法の観点からも、作成されることをお勧めします。

所定勤務時間が7時間30分の場合、休憩時間は45分でよいのですか?8時間の場合はどうでしょうか?

休憩時間を除く実労働時間が、1日8時間以下であれば、45分の休憩で結構です。8時間の場合でも45分で足ります。しかし、残業をすることで、8時間を超えてしまう場合は、さらに15分の休憩を与えて、60分の休憩とすることが必要です。労働時間による休憩時間の長さは、以下の通りです。参考にしてください。
実労働時間休憩時間
6時間以下不要
6時間を超え8時間以下45分
8時間を超える60分

夜勤専属の職員の雇用は可能でしょうか?

可能です。1夜勤が16時間勤務(休憩2時間の実働14時間勤務)とした場合は、1か月変形労働時間制とすれば1カ月12回までの勤務が可能です。しかしながら、夜勤専属の雇用は人間本来の生活リズムを変えてしまうことにもなりますから、特に健康管理面の配慮が必要でしょう。

新たに採用した従業員ですが、協調性に問題があるので試用期間中であれば解雇しても大丈夫でしょうか?

事業所としては、職場環境などを配慮することにより良好な人間関係が保てるようにすることが第一ですが、中小規模の事業所では配置転換場所もなく、他の職種に替えることが困難な場合もあります。やむをえず退職勧奨や解雇せざるを得ないこともあります。しかし、試用期間中であれば、いつでも解雇できるというわけではありません。試用期間中であっても即時解雇が認められているのは採用後14日以内です。それ以降は、通常の解雇と同様に30日以上前の予告または予告手当の支払いが必要となりますので、ご注意ください。

従業員が、通勤途中にケガをした場合、労災の対象となりますか?

通勤途中での事故の場合、次の2つの条件がそろえば通勤災害として労災保険の給付を受けることができます。①通勤と災害の間の相当因果関係が認められること②住居と就業場所との間を、合理的な経路および方法により往復するものであること①は、ケガや病気が通勤を原因とするものでなければならないということです。たとえば、道路を歩いているとき、つまづいて転んでケガをしたような場合です。②は、仕事が終わって、いつもの通勤経路をいつも通りに帰宅するときにおこった場合です。しかし、帰宅途中で、飲酒をしたり、友人と長時間話し込んだりするなどの行為をした場合は、その後は通勤とみなされませんので注意が必要です。例外として、帰宅途中に買い物をしたり、病院に寄るなど日常生活に必要な行為などは、その後、通常の通勤経路に戻ったあとの災害は通勤災害と認められます。

定年後再雇用された従業員の年次有給休暇は、再雇用後6カ月後に10日付与されるのですか?

定年退職後、継続して再雇用された従業員の有給休暇は、継続勤務したものとして勤続年数を通算しなければなりません。
定年前に6年6カ月以上勤務していた従業員の場合、定年の時点で付与されている有給休暇は、繰越日数も含めて引き続き使うことができますし、次の年休付与基準日には20日の年次有給休暇が付与されます。

パート従業員にも有給休暇を与えなければならないのでしょうか?

パート従業員でも1週間の所定労働時間が30時間以上または1週間の所定労働日数が5日以上であれば、6カ月以上勤務すれば、通常勤務の従業員と同じ日数の年次有給休暇を与えなければなりません。
また、1週間の所定労働時間が30時間未満かつ1週間の所定労働日数4日以下であっても、週の所定労働日数に応じて年次有給休暇を与えなければなりませんので、注意が必要です。

正社員でも労働契約書を作成する必要がありますか?

パートタイマー・契約社員などでは労働契約書を作成されることが多いですが、正社員で労働契約書を作成することは少ないようです。労働契約自体は、口頭でも締結でき、必ずしも書面を作成することまで義務づけられるわけではありません。しかし、入社時の合意事項の証憑として、また、雇用関係の助成金の申請で必要となる場合も考えられますので、雇用契約書はあった方がよいでしょう。
また、労働条件通知書(雇い入れ通知書)は必ず書面で作成しなければなりませんので、労働条件通知書(雇い入れ通知書)に、事業主、社員双方の署名・押印欄を加えて、労働契約書を兼ねるようにするのも一つの方法です。

業務の都合により、休憩時間の時間をずらしたり、休憩を分割して与えることは可能でしょうか。

休憩を一定の時間に、まとめて与えることが望ましいでしょうが、休憩時間を業務の都合により変更したり、休憩時間を分割して与えることが禁止されているわけではありません。休憩時間を変更したり、休憩時間を分割して(たとえば、正午から45分、午後3時から15分)与えることができます。
このような場合は、あとでトラブルとならないように就業規則にも規定しておいた方がよいでしょう。

時間外の割増賃金の単価は、基本給だけで計算していいですか?

月給制の場合、基本給とその他の手当の合計を1か月の所定労働時間(たとえば、174時間)で割ったものに1.25をかけて、時間外割増の単価を計算します。
ただし、諸手当のうち、①家族手当②通勤手当③別居手当④子女教育手当⑤住宅手当⑥臨時に支払われた賃金⑦1カ月を超える期間毎に支払われる賃金は、除外してもよいことになっています。
たとえば、基本給16万円、資格手当2万円、職務手当1万円、通勤手当5千円、1か月の所定労働時間160時間とすると、
          基本給+資格手当+職務手当    16万円+2万円+1万円
時間外割増時間単価= ×1.25 = ×1.25
            1か月の所定労働時間         160時間
= 1,485円
時間外割増時間単価=基本給+資格手当+職務手当/1か月の所定労働時間×1.25=16万円+2万円+1万円/160時間=1,485円
となります。